ものがたり『バガヴァッド・ギーター』第11話
(友人であり至上主でもある
クリシュナは、
親族が敵味方になり
苦悩し悲しむアルジュナに対して、
本当の生命の姿(魂)について
さらに語り続けます。)
「アルジュナよ。
すべての生命は、誕生の前にはかたちがない。
生まれてから死ぬまでの一定期間に姿形を現し、
死後、また形がなくなる。
この事実のどこに
悲しむ理由があるのか。
ある人は魂の神秘を見て驚嘆し、
ある人は魂の驚くべき神秘を語り、
ある人は魂の神秘について聴くが、
ある人は魂について聞いても
まったく理解できない。
アルジュナ、いいか。
肉体の中に住む魂は、
永遠不減にして殺すことは不可能だ。
だからすべての生命の生死
について嘆き悲しむな。
君は戦士階級(クシャトリヤ)の生まれだ。
その義務を考えても
正義を守るための戦いに
参加する以上の良い行いはないのに
どこにためらう必要があるのか?
戦士として
このような機会にめぐり会うとは、
真に幸せなことだ。
天国は彼らのために
門戸を開いて待っている。
だが、もし、
君が義務である
この正義の戦いに参戦しなければ、
義務を果たさなかった罪を犯すことになり、
君は戦士としての名誉を失う。
後世までも人々は、
常に、君の汚名を
語り続けることだろう。
名誉ある者にとってこの屈辱は、
死よりも耐えがたいことだろう。
いままで君の名をたたえていた武将たちも、
君が戦いを怖れて戦場から逃亡したものと思い、
『卑怯者』『憶病者』と軽蔑するだろう。
敵方の者たちはみな、
ひどい悪口を言い、君の能力を下に見てののしるだろう。
これよりひどい苦痛があると思うか。」
…続きはまた明日。
(今日は2章28-36節まででした)
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