ものがたり『バガヴァッド・ギーター』第16話
友人であり至上主でもある
クリシュナは、
苦悩し悲しむ戦士アルジュナに対して、
魂と肉体の違いについて
教えを授けています。
クリシュナは言いました。
「心を支配できない者は、
魂を理解する知性を持てない。
だから、このような
本当の知性を持たない人は
至上主を瞑想できない。
瞑想のできない人に
心の平安は望むことはできない。
心の平安がない所に
本当の幸福はない。
水の上を行く舟が
強い風に吹き流されるように、
私たちの肉体から起こる
諸感覚や感情のただ一つにさえ
心を許したなら
人の知性はたちまち奪われてしまう。
だから、勇ましい戦士のアルジュナよ。
肉体から起こる感覚を
それぞれの対象(感覚が起こる原因)から
強い意志を持って抑制できる人の
知性は、
本当に安定している。
一般的な人間にとっての夜が、
物欲を捨てた聖者にとって、昼である。
一般的な人間にとっての昼が、
本当の真理を悟った聖者にとっては夜である。
まったく逆である。
例えば、
無数の河川が流れ込んでも、
海は落ち着いていて揺るがない。
自身の内面で
欲望が次々に起こっても、
追わず取りあわぬ人は平安である。
だが、
欲望を満足させようとする人は
そうではない。
すべての物欲を放棄した人、
「足りない。もっと欲しい。」
という思いから解放された人、
「私は」という
(自分が大きな魂の一部であることを忘れてしまった)偽った自我もなく、
「私のもの」という気持ちを何ものにももたぬ人、
このような人だけが
本当の心の平安を得る。
アルジュナよ。
これが、
ブラフマン(梵)に達する道
(ブラーフミー・スティティヒ)
である。
ここに達すれば、一切の迷いは消える。
死ぬ瞬間にここに到れば、
解放(ブラフマ・ニルヴァーナ)、
肉体を離れ魂を悟ること、ができる。」
…続きはまた明日。
(今日は2章66-72節<2章終わり>まででした)
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